『赤毛のスカーレット』という漫画があります。
1955年にデビューした漫画家・水野英子先生が1966年に『週刊マーガレット』に発表した作品です。
1952年のアメリカ映画『静かなる男』が翻案と言われています。
筆者はこの作品には非常に思い入れがあるのです。
出典:『赤毛のスカーレット』(水野英子)
『赤毛のスカーレット』の簡単なあらすじ
田舎の村で暮らす赤毛の娘
ヒロインのスカーレットは、田舎の村に住む赤毛の女の子です。
ふらりと村にやって来た男・ジョーに恋をしますが、スカーレットの兄・バーニーはジョーのことが気に食わない様子。
ジョーもスカーレットのことを好きになり、二人は相思相愛の関係になるのですが、この兄のせいでいろいろと面倒なことになります。
バーニーが思いを寄せている美女・ジニーも巻き込んで、恋愛模様は少々ややこしい展開に。
村祭りのシーンが印象深いのです
村祭りで馬の競走(ちょっとした競馬)が行われることになりました。
優勝すると好きな女性に結婚を申し込むことができるという村の習わしがあるのです。
優勝者は馬に乗ったまま、お目当ての女性の帽子を取る必要があるため、村の女性たちはみんな大きな帽子を被ります。
この時、きちんと着飾ってかっこいい帽子を被るスカーレットがとっても素敵なんです!
普段はあまりおしゃれもしないスカーレットが、ばっちりメイクもしてシックなワンピース姿で凛と現れるこのシーンが大好きで、何度も何度も読み返したものです。
ストーリーの展開としては、この場面はちょっと残念な結末になってしまいますが……。
最後はもちろんハッピーエンド
その後、紆余曲折ありますが、最終的にスカーレットとジョーはちゃんと結ばれますのでご安心を。
原作となっている映画『静かなる男』同様、最後はジョーとスカーレットの兄が殴り合いの喧嘩をします。拳でわかり合うというやつですね。
ジョーは実は元ボクサーで、試合で対戦相手を死なせてしまった過去があるというのも『静かなる男』と同じです。
『静かなる男』(原題: The Quiet Man)のヒロインは
ちなみにこの漫画におけるスカーレット、つまりヒロインを『静かなる男』で演じた女優さんはモーリン・オハラ。
出典:The Quiet Man
とっても美しい赤毛ですね!
ジョン・フォード監督作品にいろいろ出演しています。ジョン・ウェインとの共演も多かったです。
初めて自分のお小遣いで買った少女漫画の単行本
それまで少年漫画しか読んでいませんでした
筆者は子供の頃から少女漫画を買ったことがなく、少年漫画ばかり読んでいました。
唯一、『こいきな奴ら』という一条ゆかり先生の漫画だけ持っていたのですが、単行本ではなく、雑誌の付録の小冊子でした(友達にもらったんです)。
その前にも、父と神保町に出かけた際に買ってもらったこともありましたけど、自分のお小遣いで買ったのは、この『赤毛のスカーレット』が初めてです。
初版刊行は1968年。私が購入したのは1976年。近所に新しくオープンした書店で見つけて買いました。
アニメ『魔女っ子メグちゃん』が好きだったので、赤い髪の女の子の絵に惹かれたんだと思います。
出典:『魔女っ子メグちゃん』
私はとてもこの漫画が好きになり、自分とスカーレットを重ねました。
当時、私は引っ越したばかりで、隣の家のひとつ年上のおねえさんにいつも遊んでもらっていましたが、この人がとても少女漫画が好きな人でした。
小学生の遊びとして、二人きりの時は違う名前で呼び合おうよ! なんて流れがありましてね。
昭和50年代というのは、まだまだ外国への憧れというのが強い時代でしてね。
その時の私の名前が「スカーレット」でした。
もちろん『赤毛のスカーレット』が元ネタです。
その後、私はもう一人、アメリカの映画で別のスカーレットと出会い、人格に多大な影響を受けたのですが、その話はまた今度書きます。
このブログのドメインもスカーレット
スカーレットとは「緋色」のこと
スカーレットというのは、赤。真っ赤な色のことです。
「緋色」という言い方もします。
アーサー・コナン・ドイルのシャーロック・ホームズシリーズの中に『緋色の研究』という小説がありますね。原題は『A Study in Scarlet』。
1850年のナサニエル・ホーソーンの小説『緋文字』(ひもんじ、と読みます)の原題は『The Scarlet Letter』です。
このブログのドメインに、管理者である私は「scharlachrot」という単語を使いました。
実は仕事以外で独自ドメインを取得するのは初めてだったのですよ。
ドイツ語で「scarlet」の意味で「シャルラッハロート」と読みます。他に思いつく単語はありませんでした。
幼馴染みのおねえさんとはもう交流はありませんが、私は未だに彼女に「スカーレット!」と呼ばれていた頃を思い出して、ほんわかした気分になるのです。
もしかしたら、優しい幼馴染みのおねえさんのことを思い出すから、この漫画が好きなのかもしれません。
出会ってから40年以上経ちますが『赤毛のスカーレット』はずっと私の心の支えとなっている漫画のひとつです。
古き良き時代の少女漫画。レトロな雰囲気を味わいたい方はぜひ読んでみてください。
水野英子先生の作品は、他にも好きなものがありますので、いずれ記事にしてみようと思っています。
コメント